今回は、ジム・クレイマーのジム・クレイマーの株式投資大作戦から学んだ米国株のセクターローテーションについてまとめていきたいと思います。
ジム・クレイマーの経歴
1955年生まれ。
1977年にハーバード大学を卒業する。
1984年ハーバード法科大学院を卒業する。
その後、ゴールドマン・サックスに入社し、トレーダーとしてのキャリアをスタートする。
1987年に独立し、ヘッジファンド「Cramer Berkowitz」を設立する。
1990年代後半から、ローエンス・クドロウと共に「America Now」および「Kudlow & Cramer」で司会を務める。
2005年〜『Mad Money』でホストを務める。
米国株は11のセクターに分類される。
セクターとは、株の銘柄をある共通点や類似点をもつ業種に分類し、業種グループに分けたものです。
米国株は微妙な差異はあるものの、11のセクターに分かれています。
有名なのは、バンガード社とステート・ストリート社のETFです。
セクター | バンガード | TOP3銘柄 | ステート・ストリート | TOP3銘柄 |
情報技術 | VGT | AAPL,MSFT,NVDA | XLK | AAPL,MSFT,NVDA |
一般消費財 | VCR | AMZN,TSLA,HD | XLY | AMZN,TSLA,HD |
ヘルスケア | VHT | JNJ,UNH,PFE | XLV | JNJ,UNH,PFE |
生活必需品 | VDC | PG,KO,WMT | XLP | PG,KO,PEP |
素材 | VAW | LIN,SHW,APD | XLB | LIN,APD,SHW |
公益 | VPU | NEE,DUK,SO | XLU | NEE,DUK,SO |
資本財 | VIS | HON,UNP,UPS | XLI | HON,UNP,UPS |
通信 | VOX | FB,GOOGL,DIS | XLC | FB,GOOGL,TMUS |
不動産 | なし | XLRE | AMT,PLD,CCI | |
金融 | VFH | JPM,BRK,BAC | XLF | BRK,JPM,BAC |
エネルギー | VDE | XOM,CVX,COP | XLE | XOM,CVX,EOG |
各セクター、バンガード、ステート・ストリートのETF、TOP3銘柄(2021/6/20日)をまとめてみました。
セクターローテーションとは?
マクロ経済の変動に応じて、ポートフォリオマネージャーが一つの銘柄グループから他の銘柄グループに資産をシフトさせることをセクターローテーション戦略といいます。
一般的に、株価は経済の先行指標として6ヶ月先を行くと言われています。
イメージとしてはこんな感じです。

では、経済の波から解説していきます。
①Full Recession
失業率が増加し、個人消費が減少、GDPが減少し、企業の売上や利益が減少するフェーズです。
中央銀行は、政策金利を低下させることによって、景気を下支えしようとします。
イールドカーブは正常となります。
②Early Recovery
失業率、個人消費、GDP、企業の売上や利益が回復しはじめるフェーズです。
政策金利は低下したままですが、債権が売られ、イールド・カーブが急峻(スティーブ化)になってきます。
③Full Recovery
失業率が低下、個人消費、GDP、企業の売上が利益が上昇していくフェーズです。
政策金利が引き上げられ、イールド・カーブが平坦化してきます。
④Early Recession
失業率が徐々に上昇、個人消費、GDP、企業の売上や利益が減少していくフェーズです。
政策金利は引き上げられたまま、将来への不安から長期債権が買われ、長期金利が下落することから、逆イールドカーブが起きます。
次に、マーケットの波を解説していきます。
①Market Bottom
政策金利の低下から、低金利の恩恵を受けやすいもの、借入を増やすことで利益を得ることができる産業が買われやすいです。
FInance:金融(VFH,XLF)、Technology:情報技術(VGT,XLK)、Cyclicals:一般消費財(VCR,XLY)などのセクターがリターンが高くなります。
②Bull Market
景気に敏感なもの、消費者や企業の新たな支出に対する期待感から、
Technology:情報技術(VGT,XLK)、Industrials:資本財(VIS,XLI)、Basic Materials:素材(VAW,XLB)などのセクターのリターンが高くなります。
③Market Top
インフレ圧力の高まり、継続的な景気拡大による需要の維持から、
Basic Materials:素材(VAW,XLB)、Energy:エネルギー(VDE,XLE)、Staples:生活必需品(VDC,XLP)などのセクターのリターンが高くなります。
④Bear Market
利益が安定している
Energy:エネルギー(VDE,XLE)、Staples:生活必需品(VCR,XLY)、Healthcare:ヘルスケア(VHT,XLV)などのリターンが高くなります。
⑤Late Bear Market
利益が安定している
Healthcare:ヘルスケア(VHT,XLV)、Utilities:公益(VPU,XLU)、Finance:金融(VFH,XLF)などのリターンが高くなります。
ジム・クレイマーのプレイブック
GDP成長率 | 金融政策 | 買い | 売り |
3% | 第4次引き締め策 | 医薬品、スーパー | 重厚 |
2% | 景気の減速がはっきりする | 高PER銘柄、銀行、ノンバンク | |
1% | 第1次緩和策 | 小売流通株、住宅関連株 | |
0% | 第2次緩和策 | 自動車 | |
-1% | 第3,4次緩和策 | 低PERのハイテク株 | |
1% | 緩和策終了 | 紙、パルプ、化学 | |
2% | 医薬品、スーパー | ||
3% | 金利引き上げに転換第2次引き締め策 | 重厚 | 金融、住宅、小売、自動車 |
4% | 第3,4次引き締め策 | 金属、鉱山 | 紙、パルプ、化学 |
ジム・クレイマーは、GDPの成長率と金融政策に注目して、買いのセクターと売りのセクターをまとめてくれています。
それをまとめたのが↑の表になります。
ジム・クレイマーの表は買い、売りのタイミングが明確でわかりやすいですね。