今回は、S1を中心にセンチネルワン Sentinel one($S)を分析していきます。
まとめ
・センチネルワンは、クラウドストライクの最大のライバル。
・競争が激しい。
・売上成長率は108%(YoY)
・グロスマージンは51%。
・FCFマージン-87.15%。
・40%ルールは、21%。
・赤字が拡大している。
本日は、イスラエル発で、シリコンバレーに本社のあるセンチネルワンについて解説していこうと思います。
センチネルワン Sentinel one($S) 企業概要とビジネスモデル
本社 | カリフォルニア州マウンテンビュー |
CEO | Tomer Weingarten |
設立 | 2013年 |
IPO | 2021年 |
センチネルワンの会社の経営理念は、
Our mission is to defeat every attack, every second, of every day.
毎日毎秒、あらゆる攻撃を撃退すること
です。
IPO時の幹事は、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカなどです。
センチネルワンの事業は簡単に言えば、サイバーセキュリティ会社です。
エンドポイントセキュリティに分類されます。
エンドポイントセキュリティとは、エンドポイント(パソコンや携帯電話といった個々の機器)ベースのセキュリティでした。
エンドポイントセキュリティをSaaSモデルとして提供しています。
あのクラウドストライクとほぼ同じビジネスモデルです。

Gartner reportでは、Leadersに分類されています。
競合は、クラウドストライク、マイクロソフトなどです。
S1でもクラウドストライク、マイクロソフト、マカフィ、シマンテックなどの名前が挙げられていました。
クラウドストライクとの違いは、
AIを搭載した世界初のXDR(Extended Detection and Response)プラットフォーム
を開発しているという点です。
XDRとは、エンドポイントやネットワーク、クラウドそれぞれから情報を収集する、セキュリティ対策ソフトウェアの総称を指します。
エンドポイントだけではない複合型のセキュリティを開発しています。
VS Crowdstrikeという

クラウドストライクとの比較というページを作りバチバチにライバル視しています。
センチネルワン側は、非常に自由度が高いことを売りしているようです。
センチネルワン Sentinel one($S)のIR
こちらのHPから、IRを参照できます。
センチネルワン Sentinel one($S)のKPI

ARRは、年間経常収益の略で、継続的な売上を表します。
SaaSモデルのビジネスとして、KPIとして用いられることが多い指標になります。
センチネルワンのARRは、右肩上がりで、上昇し、YoYの上昇率は、90〜114%で推移しています。
非常に順調に成長しているとして問題ないと思います。

Retention Rate(既存顧客維持率)は、114%以上を維持しており、順調です。
センチネルワン Sentinel one($S)のP/L
売上と成長率

四半期ごとの売上です。Growth rate(成長率)はYoYで計算してあります。順調に右肩上がりで成長しており、成長率は95%〜108%で非常に高いです。
粗利と粗利益率の推移

グロスマージンは、51%〜63%でやや不安定です。やや切り下がっているのが、気になります。
一般管理費、研究費、マーケティング費

一般管理費、研究費、マーケティング費はかなりの金額を費やしています。
特にマーケティングには力を入れており、売上とほぼ同じ金額を突っ込んでいます。
かなりの攻めの経営をしているということは頭に入れておいたほうがよさそうです。
Net loss(純損失)の推移

純損失は拡大しています。
センチネルワン Sentinel one($S)のB/S

流動比率 | 288.14% |
自己資本比率 | 60.53% |
比較的強固なB/Sになる予定のようです。
センチネルワン Sentinel one($S)のC/F
(in thousands)

本業の儲けである営業キャッシュフローはあまり安定していません。
フリーキャッシュフローマージンは、-87.15%です。
40%ルール
売上成長率+FCFマージンで計算される40%ルールは、
108%-87%=21%<40%
で、40%には未達です。
センチネルワン Sentinel one($S)の株価チャート

IPO初日の株価チャートです。
$46で開始しましたが、下落し、$42で取引を終えました。
それでもPSRは100近い水準です。非常に期待が大きいです。
センチネルワン Sentinel one($S)のRisk Factor、気になった点
最後にS-1のRisk Factorで気になった点についてまとめておきます。
・事業歴が浅い
・設立以来、すべての期間において純損失を計上しており、将来においても収益性を達成または維持できない可能性がある。
→実際、赤字は拡大の一途をたどっている。
・競合他社が強い
→特にクラウドストライクとは強いライバル関係にある。
・COVID-19のパンデミックの影響
→基本的には、プラスに作用していたので、それがなくなって成長率が維持できるか。
・販売サイクルの時期と長さが長い。